2026年6月11日木曜日

路上演劇祭Japan in 浜松2026 雑感 その1

個人的な当日の雑感を書いたので、2回に分けてご紹介します。

東京からいらした、えのさんの写真を使用し、構成しました。


文章:寺田景一

写真:えのさん



缶チューハイを片手に、ハトにエサをあげている二人のおじさんがいた。

休日の昼間からの酒は上手い。

そもそも休みなのか、きのうもあしたも変わらないのかは知らない。

 

ちょっとまずいなと思った。

というのも、僕がやる作品の中で、カラスの立場から、ハトのエサやりを非難する場面があるからだ。

疎まれるカラスと比べ、みんなに可愛がられるハトに嫉妬する。

 

そこは、トップバッターで上演しようとしていた場所だった。

日差しが強くなり、居づらくなれば去るかもしれないが、そのような気配はなかった。

 

路上演劇祭のため賑やかになってゆくのを、「珍しいこともあるものだ」と楽しんでいるようにも見えた。

イベントの為に全エリア借りているといっても、「そこ使うので」と強権をふるう資格はない。

居合わせた人はお客様にもなるし、同じ場での共生はそもそもの目的ではなかったか。

 

カラスの立場だからとしても、了見が狭いことは言っていられない。

カラスはこの台詞で出番を終える。

「お~い。ハト~。おまえたちもお食べ」

 

地下に伸びる歩道を行けば、吹き抜けの町がある。





















タイムテーブルはこちら。





本部はこちら。

















お手持ちの荷物はこちら。

ひとりめの「滞在型出演」他人堂【クローク】。

印刷と手書きバージョンがあり、参加者の持ち物を守る。

これは何気ないようで、どこか社会に問うている。

持ち物とは誰のものなのか?

私の物!と所有権を主張するが、ほんとうにあなたの物なのか?

たまたま偶然、あなたの物と思われる瞬間にすぎないのではないか?

個人的に、途中大切な物をなくしてしまったという時間があり、演劇祭に集中しにくかった。

それを救ってくれたのが、このクローク。

やはり、僕の物だと主張したい笑




















早々とボンヤリしている人々。

ふたりめの「滞在型出演」つじむらゆうじ【キボ―を持ってボンヤリ、ボーッとする】。

果たしてキボ―はあるのだろうか?

















11:00~

MCのあいさつから【ことしもはじまるさ】

ジュニア、ふへ、ななこの3名によるリレー。


















11:10~

子どもと大人のための現代演劇ラボラトリー【春休みの宿題】

 

登場人物がどんどん変わるので、みんなが揃う場面がない。

最初と最後も流れの中行い、互いにお疲れさまとも言う時間もなかった。

発声練習をする、本を口に出して読む、絵を描く、楽器を演奏する。

それらが夏空の元、ばらまかれる。

他の人のアイディアに助けられた上演でもあった。

主体は何だったのだろう。

何のための、誰のための演劇だったのだろう。

子どもと大人のため・・・対象の大きさの前に立ち尽くす。

そこから始まるのである。

 

















11:35~

加藤解放区【部屋とYシャツとロミオとジュリエット(序章)】

 

部屋とYシャツに続くのは・・・もちろん、私。

1992年の平松愛理による、結婚して苗字が変わる妻が夫に向け心境を語ったヒット曲。

女は男の元に嫁に行く。

男に従うことを逆手にとったしたたかさが、同性の共感を呼んだ。

キャピレット家の屋敷2階に現れるジュリエットは、浜松内外に発着するバスターミナルの内径に出現した。

演劇を見通すには、吹き抜けに移動するのが良かったが、丸椅子から離れる人は少なかった。

強く陽が当たっていたこともあるが、路上演劇を観るのもコツを要するのだと思った。

 

















12:05~

ふへ【昔話であそぼ!】

 

演者は、場所ともあそんでいた!

愛おしい、石よ! その平べったい切削された石よ!

人々はあそぶ演者に目を向ける。

ワイアレスマイクが少しだけひとり奮闘する姿を守っている気がした。

わたしの声は拡声され、空に大気に対抗する。

そして人の中へ。

昔話はわたしの武器。

祖先の力を借りて、何事かを届ける。


















「滞在型出演」つじむらゆうじのキボ―のキを次の演者に手渡す。


















12:30~

村木大峰ムラキング【水属性と土属性】

 

本名とニックネームが合体したエントリー名。

戦隊ヒーローのように何かパワーアップを意図したものだったのだろうか?

ソロ出演3度目は、いつにも増して本人自身だった。

私とは何か? という生まれてきてしまった以上、つきまとってくる命題。

出来るだけやり過ごすのが生きやすいと言う人もいるだろう。

でも、強大化したムラキングは、自分自身と言うものをただただそこにさらす。

批評などくそくらえとばかりに。


















12:50~

演劇ユニット【もんずたーず】【SHAKES AND SPEARES】

 

終演後の片づけの時少し話をした。

聞けばみな大学3年生なのだそうだ。

浜松の大学に入学し3年目。

学内で学外で人と出会い、路上と会う。

ひとつの場所に揃って始められた口上から散り散りになる。

東西南北方角4か所を先ずはおさえる。

さあてこれからどうやって世界制覇を始めようか。

語るはシェイクスピア。

志は大きい。


















さんにんめの「滞在型出演」ひらのあきひろ【空に魚、地に獣】

 

この場所に長く居ると気付かない。

ここはまるで地表と地続きであると錯覚する。

空から降りてくる物体。

これとて地上から落ちてくるのだ。

奈落の底へ。






















13:20~

ひつじ合奏団【ハーメルンの笛吹き男】

 

グリム兄弟によるドイツの古い話「ハーメルンの笛吹き男」は怖い話だ。

町を救った男が裏切られ、吹く笛についてきた子供たちがいなくなってしまう。

1983年に完成したモニュメントはルイ・フランセンと言う日本を拠点に活動していたベルギー人作家により制作された。

中世楽器に興味を持つ方もいて、聴いているそばから音楽についての質問を受けるが僕も詳しくは知らない。

お伽噺のように合奏団の誘いにより人々はついていく。

階段を登り、バスターミナルのある地上に着こうとした時、演奏は止み、みな無事正気に戻る。

まわりを見まわしたら、ついていったのは、子どもではなくみんな大人だった。

鉄塔に「伸びゆく浜松」とプレートが貼られているが、このモニュメントも「伸びゆく浜松」と言う。


















13:50~

浜松キャラバン隊【知的障害・発達障害こんな行動あるある】

 

打ち上げでリーダーのたかはしさんがおっしゃっていた。

「全国にキャラバン隊は数あるが、演劇やっているのは私たちくらい」。

一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会という団体があり、2014年全国の正会員55団体により、知的障害者の権利擁護と政策提言を行うため発足した。(現在56会員)

そこで「啓発キャラバン隊」という名で、知的・発達障害者の「困り感」を知って頂くため、さまざまな疑似体験などを通して、理解を深める活動をしている。

そこから生まれた、演劇を通し伝える「浜松キャラバン隊」。

初めてリハーサルに立ち会う機会があった。

流れるようなやりとりで次々と場面が出来ていく様にさすがだと感嘆した。





0 件のコメント:

コメントを投稿

完全なる余談